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きみの凹はぼくの凸~【ふわふわサーカス】ストーリーの魅力~

わたしが一メンバーとして参加している【ふわふわサーカス】。実は公演ごとにちゃんとストーリーが作られています。パフォーマンスを見せる段取りのためのあらすじだけではなく、それぞれのキャラクターの性格や内面まで掘り下げたうえでのお話です。

ふと思い立ちまして、「立ち上げ公演のお客様満足度100%、公演2回目で企業スポンサーを獲得するふわふわサーカスの魅力」を、その【ストーリー性】の観点から(いちアクター自ら)考察します。



お話作りを担当しているのは、実際のショーでストーリーテラーをつとめる「ユニコーンくん」。
ショーでのユニコーンくんはちょっぴりこわがりで、お友達思いで気持ちの優しい、わくわくどきどきが大好きな、こどものキャラクターです。

ふわふわサーカスの主たるお客様は小さなお子さん。こどもたちはサーカスのパフォーマンスを堪能するだけではなく、ユニコーンくんと一緒にふわふわの世界に冒険にでかけます。自分たちと近い存在のユニコーンくんが語り掛けてくれるので、すんなりと物語に入っていけるようです。

左がユニコーンくん。立ち上げ公演での一幕です。

【アートにエールを!】のためにふわふわサーカスが初めて製作した映像作品「アシナガさんのさがしもの」は、わたしが演じるスティルトの「アシナガさん」が主人公です。

尺制限のある映像にはキャラクターがもつ背景などは出てきませんが、作中唯一のお芝居であるところの、ユニコーンくんと会話を交わす冒頭のシーンで、アシナガさんのキャラクターを掘り下げてくれているからこそのやり取りがあります。

なかなか見つからない虹のかけらを探してひとり途方に暮れているアシナガさんに、臆せず明るく声をかけてくれるユニコーンくん。
びっくりしているアシナガさんに、ユニコーンくんはなんとお手伝いまで申し出てくれます。
おずおずと、でもうれしそうにユニコーンくんの好意を受けいれるアシナガさん。こうしてふたりは虹のかけら探しに出かけるのです。

アシナガさんのお話を作るにあたり、ユニコーンくんから「足長ってどんな気分?ほかのプロップとは違う、なにか特別なところはある?」という聞き取りがありました。

象を想像していただくとピンとくるのではと思いますが、足長(スティルト)を履くと時間の流れが少し変わる感じがします。また下半身だけが長くなるので、T-REXよろしく、何かを落とした時には自分の手では拾えませんし、地に足をつけたアクターたちとは若干の隔たりが生まれます。

この「ほかの存在とは少し違っていて、良くも悪くも異質感がある」「場合によっては怖がられる」「ちょっと孤独かも(普段はこの孤独感が大変に心地よいです)」という特性から「周りに対して遠慮がち」「自分から助けを求めることは苦手」なアシナガさんを作っていただきました。
そんなアシナガさんがユニコーンくんという存在と偶然出会うことで、ふたりの冒険がはじまり、空に散った虹のかけらや、地上の虹のかけらを集めていく、というストーリーが生まれました。

冒険にでかけるアシナガさんとユニコーンくんのふたりは「あなたの凹はわたしの凸でもある」「わたしたちは連帯することで、より高く遠くにいける」というメッセージそのものでもあると、わたしは受け止めています。そしてこうしたメッセージこそ、幼児期のこどもたちに送りたいものであると、子を持つ親として強く思います。

アートにエールを!|カテゴリー07・その他|ふわふわサーカス・世界でいちばんやさしいサーカスショー


世の中には素晴らしいサーカスアクターが数多くいらして、圧倒されるショーも多数あります。
ですがこどもたちへのポジティブなメッセージをストーリーに織り込んだ、こどもたち目線の体験型のサーカスは、ふわふわサーカス独自のものだと自負できます。

余談ですが…

わたしは普段は主に大人に向けたソロでのアクトが多く、キャラクターの肉付けも設定ももちろんしますが、基本的に弱さを要素に取り入れません。あざとさを排除したいのもありますし(「弱さ」を表現に用いるのは大変難しく、塩梅を間違えるととっても陳腐になりますね)、ソロアクトの場合目指すのは「獰猛で恐ろしく美しい人外の存在」。これは譲れない趣味です。

ですのでふわふわと自らの趣味道、両極を行き来しながらやっていけるのは大変ありがたい。今年はコロナ禍で趣味道の一切のステージが飛びましたので、別の届け方を模索しながらも突き進む所存です。

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